歌川貞秀は国貞門下で幕末期に大きな足跡を残した絵師。五雲亭・玉蘭斎と号し、若年より多くの挿絵をこなし、特に馬琴の「南総里見八犬伝」終編の挿絵を英泉・重信とともに任されたことでも彼の技量の程が知れる。また風景画家としても全国の名所を訪ね歩き、優れた作品を描いている。もう一つの貞秀の業績に横浜絵がある。幕末期、新開港場としてにわかに栄えた横浜を題材にした風景・風俗画である。1868年のパリ万国博覧会にも出品。