タイトル:かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-

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概要

かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-の作品解説電子ブックです。

62なん南せい青ぶ部どう銅しょう勝つゆ露の之くさ草しん進もん文すい水ばん盤Basin, design of dayflowers, bronze1950(昭和25)年鋳金第6回日展オリエントの雰囲気を感じさせるモダンな水盤である。見込み中央部には同心円の線刻が配され、口辺部には露草を4箇所に透彫する。高台にはやはり唐草風の露草を、カマキリやバッタとともにあしらっている。花を生けたときに邪魔にならないよう、全体として控えめな装飾となっている。南部勝之進は富山県高岡市生まれ。本名勝進。1948(昭和23)年から金沢美術工芸専門学校、定年退職後は同美術工芸研究所に奉職した。鋳金の歴史をたどる研究に精魂を傾け、『加賀象嵌史考』にまとめる。1950(昭和25)年第6回日展に初入選、以後同展に入選を重ねた。(YT)61いた板せい青さか坂どう銅たつ辰き器じ治ずいちょう」「瑞鳥Vase, "Auspicious birds", bronze1979(昭和54)年鋳金第11回改組日展角が上向きになった方壺は、日本における古典建築の屋根の曲線を器のかたちに取り入れたものである。作者によると、ある時は崇高に、ある時は優しく人々の心に残る屋根の曲線美は日本建築の美しさを象徴するものであるとし、本作ではそのフォルムを瑞鳥の飛翔に託して制作したという。やきひどう器体は青銅、着色は焼緋銅おはぐろである。緋銅は銅を熱して急冷することで緋色の地を得る技法で、作者にとっては、重厚さや強さを表現する際に適用する着色法である。おはぐろは、日本酒や食酢に焼いた鉄屑などを入れて寝かせたものを水おはぐろで薄めた「鉄漿液」を、掃きながら焼きつける技法である。(YT)39