展覧会
前田育徳会尊經閣文庫分館
名物裂の精華
名物裂とは、わが国に舶載された裂のうち、特に珍重された裂の総称です。これらは書画の表装に用いられたほか、特に茶器の仕覆として愛でられました。茶人が愛用した裂地に『珠光緞子』『遠州緞子』などの固有の名称がつくのは、こうした由来があるからです。
前田家は、3代利常の時代の寛永14年(1637)、町人に見立てた家臣を長崎へ遣わせ、「銀子二十枚」で「古き唐織の切(きれ)」を買い求めます。『三壺聞書』という史料には、この時「有るに任せて価構はず買取りて」、利常の「御機嫌殊の外よかりける」とあることから、買い求めた大量の裂に、利常が非常に満足したことがわかります。事実、前田家が収集した名物裂コレクションは、今日でも国内最高の量と質を誇るのです。
近年の調査では、前田家にて収集された裂は、書画や茶器にとどまらず、能装束や甲冑の裂地に用いられたことが明らかになりました。「小さな裂」ではなく、「大きな裂地」として持っていたからこそできたことです。
今回の展示では、金襴・緞子・間道だけでなく、ちいさな花文を全体に散らした「覆盆子(いちご)裂」をはじめ、25点の名物裂を紹介します。
基本情報
会期 |
2024年1月4日(木)~ 2024年2月12日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |