展覧会
前田家の至宝Ⅱ
Ⅱ期では、重要文化財《武家手鑑》にかわり、重要文化財《手鑑「野辺のみどり」》を展示します。本作は、前田家に伝来した古筆切のうちの優品28枚を選んで、前田家16代・前田利為が1937年に作らせたものです。作製の監修は、当時の古筆の第一人者で、《源氏物語絵巻》、《平家納経》などの文化財複製を手がけた田中親美に委嘱しました。「野辺のみどり」の名称は、最初に収録した伝紀貫之筆「寸松庵色紙」の「わかせこか ころもはるさめ ふることに のへのみとりそ いろまさりける」に由来します。
表紙と裏表紙には、名物裂の一つで千利休の弟子、里村紹把が所持していたところから命名されたといわれる「紹巴裂(しょうはぎれ)」が用いられており、前田家伝来の名物裂の中から選ばれています。四方の角には、裂を傷つけない配慮から、菊をあしらった七宝金具が付けられています。古筆切は1面に1枚ずつ、紙面が傷まないようその大きさに合わせて、枠押しして凹面を作ってはめ込むように押されており、極札や貼紙は付けられていない点が特徴です。また古筆切収録の順番も、重要文化財《武家手鑑》と同じように一般的な身分によるものではなく、筆者の年代順となっています。
本作に収録された古筆切の多くは、加賀藩3代藩主・前田利常が入手したものと考えられています。筆跡の分析から、現在では異なる筆者を推定するものもありますが、利常、利為の意向を尊重して、同時に開催されている「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川」と関連する「金沢万葉切」以外は、特段の注釈なしに展示します。
基本情報
会期 |
2023年10月27日(金)~ 2023年11月26日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |