展覧会
前田家の至宝Ⅰ
室町時代末期、戦国大名による分国間の抗争から天下統一を目指す者が現れます。名門の大名家ではなく、武力と知略により“下剋上する成出者”と呼ばれた彼らにとっては、自身の権威付けが重要な課題となります。将軍との関係は必須でしたが、織田信長に擁されて15代将軍となった足利義昭は、やがて信長により京都から追放されました。
しかし、足利将軍家は北山文化や東山文化の推進など、文化においても中心的な存在でした。そこで織田信長、豊臣秀吉は足利将軍家に倣い、武力のみならず、文化力でも自身を権威付けることに注力しました。このような背景から、信長と秀吉に仕え、千利休にも茶の湯の指導を受けた加賀藩祖・前田利家は文武二道を家風としました。そして、加賀藩の歴代藩主は、百万石大名の家格にふさわしい文化度を顕示することに尽力しました。3代藩主・利常は、江戸幕府に対する対抗意識を鮮明に打ち出した、独自の美意識による名品の収集や、名工の招聘・支援などの文化政策を展開し、5代・綱紀はそれを拡大・継承しました。
本展では、10月14日から開催される「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川」の“前奏曲”との位置付けと、第2展示室で同時開催する「茶道美術名品展」との関連を意識して、茶道美術を中心とした前田家の至宝を紹介します。主な展示作品は、国宝《古今集巻第十九残巻(高野切)》(前半部)、重要文化財《茄子茶入 銘 富士》(大名物・堆朱丸盆はⅡ期で展示)、重要文化財《武家手鑑》(三帖のうち下帖)、《肩衝茶入 銘 浅茅》(大名物)、重要美術品《井戸茶碗 銘 福嶋》(大名物・嶋は箱書き表示)です。
基本情報
会期 |
2023年9月16日(土)~ 2023年10月22日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |