展覧会
優品選
日本画分野からは企画展「陰翳のなかの金彩」にちなみ、金を使用した作品を紹介します。金屏風の余白を朝日に見立てた横山大観の構想画《長江の朝》は、大観の大胆な絵画世界をよく表す大作です。また、同じ金を使った屏風でも橋本関雪《拾牛図》は、絹地の裏に金箔を貼る裏箔の技法を用いています。金の表情が直接表れない、落ち着いた表現です。
油彩画からは藤森兼明《アドレーション・ミトロポリス》を紹介します。藤森は美大卒業後に渡米し、滞在中の20代にカトリック教会で洗礼を受けます。40歳を目前に制作活動を再開、以来、信仰を色濃く映す作画で知られます。実在するギリシャの聖堂に取材した本作は、聖堂内の陰翳に揺らめく金彩と、白い衣装に作者の崇敬の念が表れています。
春になり、動物たちも目を覚まし始めます。素描・版画作品からは、脇田の生涯のテーマ、鳥の作品を紹介します。脇田は鳥をモチーフとした作品を多く手がけていますが、それらは洗練された画面構成と色の響き合いの中で、素晴らしい感性を与えられています。脇田は常に新鮮な気持ちと温かい眼差しで鳥に向き合っており、だからこそ生まれる世界が表現されています。
彫刻分野からは、吉田三郎の動物彫刻を紹介します。吉田が彫刻を学んだ明治後期以降においては、モデルの確保が難しいときに動物を題材にすることが多かったといいます。また、子煩悩だった吉田は動物が好きで、よく家族と動物園を訪れていました。動物彫刻は、吉田が活躍した時代や家族との思い出を反映したものであるといえそうです。今回は、戦後の動物彫刻から数点を展示いたします。
基本情報
会期 |
2023年4月23日(日)~ 2023年5月28日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第3展示室、第4展示室、第6展示室 |