展覧会
加賀文化の粋Ⅰ
今回は、江戸時代の加賀文化を代表する作品を選んで展示します。加賀文化の特質は、先行する京都や江戸の文化を取り入れ、加賀藩主・前田家をはじめ当地独自の美意識によって、新たな価値を付加していることです。
この特質は、久隅守景の重文《四季耕作図》にも遺憾なく具現化されています。守景は江戸の出身と考えられており、幕府の御用絵師・狩野探幽のもとで頭角を現します。探幽の門人として高岡の瑞龍寺の襖絵も手がけていますが、後年、探幽の門を離脱しています。文化で江戸幕府に対抗することに意欲を燃やした加賀藩が、幕府の御用絵師と何らかの確執があった守景に熱い視線を送ったことは想像に難くありません。そして守景もそのことを意気に感じたことでしょう。そこで守景は、狩野派が受注する画題の定番の一つともいえる「四季耕作図」に独自の世界を展開してゆきます。
一連の制作の最終段階と考えられる、当館の重文指定作品には代官が描かれているように、そこには、加賀藩が推進した先進的な農業政策を称賛する意図があったと考えられます。
さらにこの作品には、守景の遊び心も発揮されています。たとえば、夏の景には農作業とは関係なく、扇で涼を取る男が描かれています。この人物が、守景の代表作である国宝《納涼図》に描かれた男と似ていることに着目した守景論を、当館の『紀要』に発表したところ美術番組の「美の巨人たち」や「日曜美術館」で紹介していただきました。さて、この人物は誰なのでしょうか?
基本情報
会期 |
2023年3月28日(火)~ 2023年4月17日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般・65歳以上:290円(290円)、大学生:230円(230円)、高校生以下:無料
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会場 | 第2展示室 |