展覧会
コレクション展:古美術
九谷焼
※休館日:7月29日(月)、30日(火)
今回はこの機会に、古九谷の二大様式である色絵(五彩手)と青手(塗埋手)がどのように誕生したかを考察します。
古九谷の特質として最初に挙げられるのは、高度な絵画的加飾です。次に挙げられるのは、その加飾が含蓄に富んでいることです。そして最後に挙げられる特質は、加飾における独自の空間感覚です。すなわち、県文《色絵鳳凰図平鉢》に発揮された俵屋宗達風の大胆な余白の取り方の一方で、その余白を徐々に埋めてゆく明確な志向性が存在しています。たとえば県文《色絵百花散双鳥図平鉢》、《色絵石畳文平鉢》、県文《色絵鶴かるた文平鉢》を県文《色絵鳳凰図平鉢》と比較すると、空間を描き埋めようとする意識が徐々に具現化している事実を確認できます。そこに、最も高価な青色顔料であるヨーロッパ産のスマルト使用の有無を重ねると、色絵様式が青手様式に幾分先行すると判断することができます。もちろん織部陶の存在から、青手が色絵に先行するという見方もできますが、織部様式から高度な画技を駆使した五彩手の様式が誕生したとは考え難いです。したがって先述の様式変遷から、空間を埋める美意識が支配的となり、省コスト化、省力化、量産化の方向性が加賀藩主によって打ち出された結果、青手様式が誕生したと考えるのが自然です。そしてこの空間を描き埋めようとする意識は、吉田屋窯や宮本屋窯にも確かに継承されています。
基本情報
会期 |
2024年7月6日(土)~ 2024年8月25日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 7月29日(月)、30日(火) |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第6展示室 |