展覧会
歴代藩主の甲冑・陣羽織と加賀象嵌鐙Ⅱ
重厚で強靭な甲冑に対し、甲冑の上に羽織る陣羽織は、軽やかな羽織りものです。袖のあるものとないものがあり、人目を引くようなデザインに、フエルトやビロード、羅紗(らしゃ)、更紗(さらさ)など珍しい輸入裂が用いられました。
今回紹介する陣羽織からもわかるように、歴代藩主の陣羽織として、もっともよく見られるデザインは、「日の出に立波文」です。波しぶきをあげる海に日が昇るという、めでたい図柄が好まれました。同じデザインでありながら、5代綱紀、6代吉徳、11代治脩所用の陣羽織の地色は黒。8代重煕所用の陣羽織は地色が黄色で、雰囲気は異なります。今回Ⅱ期では、10代重教所用の緋色地の陣羽織を紹介します。
なお、この波しぶき模様について、縫い目が見当たらないとの質問をよくいただきます。これは、異なる裂地を嵌め込む「象嵌(ぞうがん)」の技法が用いられているからです。展示されている陣羽織を見て、気がついてもらえると嬉しいです。
また、展示してある状態ではわかりづらいですが、裏地はとても派手で、表地とちがって個性豊かなものとなっています。前田家は3代利常の時代に長崎の出島で大量の裂を購入していることから、これらの裂が用いられました。
一方、14代慶寧の陣羽織は、羅紗と更紗が用いられた、鮮やかで異国情緒豊かなデザインです。背中には星梅鉢があります。同じく輸入裂が使用されました。こうしたさまざまな個性豊かな陣羽織をご鑑賞ください。
基本情報
会期 |
2024年7月6日(土)~ 2024年7月28日(日) |
---|---|
開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
|
会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |