石川県立美術館

工芸の鑑賞を楽しみたいのだけれど、どのようにつくられているの？材料は？どこに注目して見たらいいの？そもそもどのような作品があるの？……などなど、さまざまなお声が聞かれます。今回、同時開催で特別展「まるごと奈良博」が開催されており、奈良国立博物館がまるっと当館に登場しておりますので、それならばコレクション展でも、当館所蔵の工芸の名品をまるっと皆様にお魅せしちゃおう！という内容でお届けいたします。2期にわたる特集展示となります。
久しぶりの展示となる松田権六《蓬莱之棚》は、松竹梅と鶴亀の吉祥文が表現されています。松と梅は扉の裏にあらわされ、竹は両扉側面の網代で代用されています。鶴は、20羽の真名鶴が卵殻・平文などの高蒔絵で全面に表現されているのに対して、亀は探してみても水中にいるとして描かれていません。
古様にのっとって、両面開きの扉を持つこの棚の制作にあたっては、第二次世界大戦の敗色の濃い、明日の運命も知れぬ中、遺作となることを覚悟してのぞみました。作者の持てる技術の総てが注ぎ込まれた大作となっています。
第5展示室前に設置されているデジタルミュージアムの解説動画と併せてお楽しみください。