展覧会
重要文化財 周文《四季山水図》と中国の絵画論
「花鳥」「人物」「山水」と、絵の画題はさまざまありますが、中国においてもっとも重要視された画題は、水墨で描かれた「山水」です。それは実景として描かれたというよりも、むしろ理想郷として描かれる光景で、人々はその空間に隠遁することを憧れとしました。その「理想郷としての山水」をいかに描くかについて、中国ではさまざまな「画論」の中で語られ続けてきました。本特集では、前田育徳会尊經閣文庫が所蔵する漢籍の中から、こうした絵画論を解説しながら、周文の《四季山水図》をはじめ前田育徳会を代表する中国絵画を紹介します。
唐の時代に記された王維の『山水論』には、「山水」を描くには、筆先にもっともその気持ちを込めなくてはならず、遠い樹木には枝はなく、遠い山には石はなく、隠隠とした眉のようであると記されています。山は樹木を衣とし、樹木は山の骨となる。樹木は繁りすぎてはいけない。山の美しさ、樹木の精神を現すべきとされ、これをよく描いたものが「優れた山水」というのです。
周文の《四季山水図》は、中国の宗元画の影響を受けて、遠景には高くそびえる険しい山肌を、近景には樹木の生えた低い岩肌を描きます。左隻の左側に描かれた冬へと向かう景色の移ろいが、叙情的に描かれています。
周文は著名ながらも真筆と確認できる作品は少なく、本図は貴重な作品です。右隻の右下、左隻の左下には「周文筆 探幽斎記」と、狩野探幽による極めが記さています。
基本情報
会期 |
2024年7月31日(水)~ 2024年8月25日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |