展覧会
茶道美術名品展
石川県は、藩政期から茶の湯文化の重要な拠点でした。加賀藩は、藩祖・前田利家、2代藩主・利長が千利休から茶の湯の指導を受け、さらに豊臣秀吉からのキリスト教棄教勧告を拒否して追放との身となった利休の高弟である高山右近も、利休の尽力により客将として迎えています。3代藩主・利常は、利休から古田織部の流れをくむ小堀遠州に助言を求めるとともに、京都で独自の茶風を築いた金森宗和や、利休の佗茶への回帰を強く打ち出した利休の孫・宗旦とも親交を持ちました。そして宗旦の四男・仙叟宗室は、晩年の利常に仕えています。利常が1658年に没した後も仙叟宗室と加賀藩の関係は続き、5代藩主・綱紀には1661年に初御見得して以後、30年以上にわたって仕えました。
加賀の茶の湯文化は、明治維新後、行政や実業家が新たな担い手となって興隆しました。「近代数寄者」と呼ばれた実業家によって、数多くの茶道美術の名品が石川県に集積し、野々村仁清の国宝《色絵雉香炉》をはじめ、その一部が当館に寄贈され、重要なコレクションとなっています。そして特筆されるのは、その寄贈が昭和、平成そして令和にいたるまで連綿と継続していることです。
今回は、歴史的な美意識の変遷に着目しながら作品を取り合わせてみました。茶道美術の概念も拡大し、たとえば利休を敬慕した俵屋宗達の県文《槇檜図》を、「きれいさび」の展開に位置付ける一方で、久隅守景の《笹に兎図》や松尾芭蕉の県文《温泉頌山中の句》は、利休回帰の流れで展示します。
基本情報
会期 |
2024年8月31日(土)~ 2024年9月29日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第2展示室 |