展覧会
浮世絵にみる魑魅魍魎
「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」とは妖怪や化物を総称した言葉です。今回は当館所蔵の浮世絵のうち「魑魅魍魎」を扱った作品を一挙にご紹介します。
中世において妖怪の出現は凶兆とされ、人間にはどうすることもできない超越的な存在として恐れられていました。しかし近世以降、貨幣経済や自然の脅威と無縁な都市生活が広まり、妖怪への恐怖やリアリティが薄れていきました。神霊の支配力から解放された18世紀には、物それ自体に注目する本草学や博物学が広まっていき、様々な自然物を収集し分類されるようになりました。妖怪も一種の生き物のようにとらえられ、18世紀後半には鳥山石燕(とりやませきえん)が一頁につき一種類の妖怪を描いた『画図百鬼夜行』シリーズを刊行します。まさに図鑑のような構成であり、妖怪が“もの”として、表象として認識されるようになったことがわかります。また、黄表紙と呼ばれる絵入りの読み物には、キャラクター化した妖怪が登場します。そのような背景もあり、妖怪を主題とし娯楽の対象として扱った浮世絵が数多く見受けられるようになり、幕末から明治にかけて妖怪文化の人気が高まっていきました。
今回は、幕末の人気浮世絵師・歌川国芳とその弟子の月岡芳年を中心に、江戸末期から明治にかけての魑魅魍魎を描いた浮世絵を、典拠となったエピソードとともに展示します。妖怪たちの奇妙な姿やユーモラスな表情といった表現のみならず、その背景にある物語もぜひお楽しみください。
基本情報
会期 |
2025年2月8日(土)~ 2025年3月20日(木) |
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開館時間 | 9:30~17:30(展示室への入室は17:00まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第2展示室 |