展覧会
彩塑人形・紺谷力
日本では古来より、木や紙などで作った「ひとがた」に、病気などの災いを負わせて焚き上げ、川や海に流すことで、厄を祓う風習があります。人のかたちを写し、その人の魂を映した身代わりとなるもの―「人形」が、日本では伝統的な工芸技術や素材を用いて作られるものであり、こどもの「Toy (おもちゃ)」のみならず工芸品でもあることは、このような背景に由来しています。
金沢市で活動した人形作家・紺谷力(こんたにつとむ)の作る人形の多くは、いわゆる塑土、粘土でモデリングする土人形です。木や紙と同じく、古くから人形に用いられてきた素材を、現代の素材と合わせて独自の工夫で堅牢に仕上げました。
紺谷力は昭和16年(1941)金沢市に生まれました。木彫人形作家の下口宗美に師事し、木彫、桐塑など人形の基本を学んだ後、特に塑造彩色技法について研究し工夫を重ねました。昭和53年(1978)日本伝統工芸展にて初入選後、同展をはじめとする展覧会で受賞し、鑑査委員を務めています。
紺谷があらわした人物は、古代の衣装をまとう人々を中心に、夕暮れに佇む者、伝統儀礼の楽器を奏で、舞を舞う者、神話の世界に生きる者などです。瞬間を切り取った姿は、静謐でありながら生きる歓びに満ち、心の奥底に沈む古い記憶を呼び起こすような懐かしさを感じさせます。
本展は令和3年(2021)に逝去するまで、多くの人々を魅了した紺谷力の作品群を展示し、その制作の歩みを紹介するものです。
基本情報
会期 |
2025年2月8日(土)~ 2025年3月20日(木) |
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開館時間 | 9:30~17:30(展示室への入室は17:00まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第5展示室 |