展覧会
優品選
秋を彩る優品を紹介します。
日本画部門から紹介する日影圭《汎》(はん)は、横8メートルを超えるモノトーンの大作です。「汎」とは、もとは英語の“pan”に漢字が当てられた言葉で、「限りなくひろくゆきわたること、そのすべて」という意味です。画題の通り作者の世界観があらわされた、抽象的な一作です。
油彩画分野では金沢市出身の洋画家・富田裕夫が描いた《ローテンブルク》を展示します。ドイツ南部、ローテンブルクの街を取り囲む城壁から俯瞰し、赤いレンガ屋根の連なりに主眼をおいた作品です。空は写実を離れ黄土色で描かれており、メルヘンチックな急勾配の赤い屋根とよく調和しています。同時開催の特別陳列「石川風土記」でみられる石川の風景と比較して味わってみてください。
また、同じ展示室でリトグラフを展示します。版画技法のリトグラフは、その技法が発明された18世紀末には版材として石が使われ、石版画とも呼ばれています。彫刻刀などを扱う技術が不要で、ペンやクレヨンなどデッサンするのと同じ方法で制作できるリトグラフは、多くの画家を引き付けました。脇田和はじめ、リトグラフに魅せられた作家の作品をお楽しみください。
彫刻分野では、清水良治《蜘蛛の糸(芥川龍之介より)》をご紹介します。しばしば文学を題材に制作した作者が、芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』に取材した作品です。上方を見上げ、長く伸びる蜘蛛の糸にすがる男。暗い影を落とすような男の姿は、まさに小説のワンシーンを思い起こさせます。
基本情報
会期 |
2024年10月5日(土)~ 2024年11月4日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第3展示室、第6展示室 |