展覧会
優品選
日本画は、11月に引き続き展示する「太古を想う」に加え、「冬の景」、「ハレを飾る」をテーマに展示します。「冬の景」には、大正期の正月準備の様子がうかがえる《八百屋之図》を展示。店先での女将さんとお使いの少女のやり取りがほほえましい美人画です。「ハレを飾る」では、ちょっとめでたい日本画をご鑑賞ください。
ご注目いただきたい油彩画のうち、南政善《蝙蝠(こうもり)》は、浅草の幇間(ほうかん)を題材とした作品です。中国では蝙蝠の「蝠」が「福」につうじ、福の神の使いであり、吉兆の印とされます。本作では浅草の幇間が座敷芸の蝙蝠の舞を踊る姿が描かれています。機敏に捉えられた幇間の仕草には、「幇間という商売はすでになくなっていると信じていたから、本格派の幇間を見られたよろこびは大変なものだ。踊る動作がじつにおもしろい」という南の賛嘆がうかがえます。
版画分野からは一見、水彩画と見紛うばかりの宮本三郎の木版画《舞妓十二題》の中から、新春に相応しい題材を選んで展示いたします。天性の素描家といわれる宮本ですが、その宮本が原画を手掛け、それを当時の版画界の最高レベルの名工である彫師と摺師が木版画に仕上げました。三者の息の合った共同作業で出来上がった仕事の結晶をご覧ください。
彫刻分野からは畝村直久《若い都会の女》をご紹介します。わずかな動きを伴う立ち姿の裸婦像には、東京美術学校で学んでいた、若き彫刻家のひたむきな観察と量感への意識が表れています。のちに優美さと情感を持った女性像を制作していく作者。ぜひ晩年の代表作である《和》と比較しながらご覧ください。
基本情報
会期 |
2024年12月14日(土)~ 2025年2月3日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第3展示室、第4展示室、第6展示室 |