展覧会
溶姫の婚礼調度
溶姫は第11代将軍・徳川家斉の二一女で、加賀藩13代藩主・前田斉泰の正妻として知られています。文政6年(1823年)4月に11歳で2才年上の斉泰と婚約し、文政10年(1827年)11月27日には、溶姫が江戸城から本郷の加賀藩邸へ移る「引き移り婚礼」が執り行われました。この際、使用された婚礼調度は1246点、長持だけで200棹近くにも及ぶとされ、その一部が現在も前田育徳会に所蔵されています。
婚礼調度の中心をなすものに、厨子棚・黒棚・書棚の三棚があります。厨子棚は三棚の中で最も格が高いものとされ、拾貮手箱(じゅうにてばこ)をはじめとして、化粧道具、香道具、文房具のすべてが揃って飾られました。今回は拾貮手箱のほか、香炉・香盆、「源氏物語」にまつわる文様をあしらった源氏箱、化粧道具の中でも櫛箱、払箱、眉作箱をご紹介します。
黒棚には、お歯黒道具をはじめとした化粧道具が載せられました。お歯黒に関連した道具として、歯黒箱、渡し金箱、耳盥(みみだらい)、手拭掛を合わせて展示します。
溶姫の婚礼調度の書棚は、残念ながら伝わっていません。こちらには硯箱や料紙箱などの文房具のほか、手鑑や物語などの冊子や絵巻が飾られました。今回は硯箱、色紙箱、短冊箱に加え、書物を閲覧するときに使用する見台をご覧いただきます。
これらの婚礼調度は、日々の暮らしの中でも使用されてきました。展示をとおして、当時の生活を身近に感じ取っていただければ幸いです。
基本情報
会期 |
2025年3月25日(火)~ 2025年4月14日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |