展覧会
前田育徳会尊經閣文庫分館
歴代藩主の甲冑・陣羽織
毎年「百万石まつり」が行われる時期にあわせて開催している特集展示です。
江戸時代の甲冑は「当世具足」と呼ばれ、兜・胴・袖だけでなく、籠手・大袖、腿を護る佩楯(はいだて)、足を護る脛当、頬を護る頬当など、隙間なく体を護るよう工夫がされています。それぞれを組み立てて完成させますが、よく見ると多彩な材料と技法を駆使してつくられていることがわかります。兜や胴には鉄を、籠手(こて)や佩楯には珍しい裂地を、草摺や大袖に用いられる漆塗には、皴塗(しぼぬり)や叩塗(たたきぬり)といった変塗の技法が用いられるのです。籠手の鎖の細かさや、胴や兜の庇に見える細工などから、加賀藩では高度な技術を持った甲冑師がいたことがうかがえます。
浅井勝光という甲冑師が三代利常に招かれ金沢へ下り、その技術を伝えたといいます。浅井は奈良で活躍した春田氏の流れを持つ甲冑師だったことから、その技術を継承した者による作は「春田細工」「春田鍛冶」などと呼ばれました。
六代藩主前田吉徳の甲冑制作に携わったのも二代春田道助を名乗った雲海壽尚です。吉徳の好みに応じて胴・兜・籠手・脛当・佩楯などの使用は決まりましたが、いざ吉徳が胴の試着をすると窮屈だったので、御細工奉行有沢武貞が直すよう命じたといった記録が残っています。制作に至る経緯もわかる貴重な甲冑であるとともに、雲海壽尚の最後の作としても知られています。
基本情報
会期 |
2025年5月31日(土)~ 2025年6月29日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |