展覧会
海、波、うらうら
海を題材とした工芸作品を特集します。「海」とひとくちにいっても、水の色彩、波のかたち、魚や植物といった生き物、海にまつわる物語など、発想源は様々です。ここでは、展示作品からいくつかご紹介いたします。
田島正仁《彩釉鉢「深海」》(陶磁)は、初代德田八十吉が古九谷の再現を試みる過程で開発した釉薬である「深厚釉(しんこうゆう)」の青を重ねるとともに、作者独特の珊瑚(さんご)や魚紋に由来するデザインを配置して、深海の趣を表現しています。
二塚長生《波動》(染織)は、荒天の海をあらわす褐色の地に、白い線と点の洗練された構成によって、躍動感あふれる波を表現しています。波しぶく冬の日本海を題材とした迫力ある作品です。
海の生き物をあらわした作品では、軽快な筆致でトビウオをとらえた北大路魯山人《染付波飛魚図水指》(陶磁)、波間の亀を蒔絵であらわした寺井直次《亀蒔絵煙草入》(漆芸)などを展示いたします。海の風景では、柴田是真の漆絵を折本とした《画帖》のうち、伊勢の景勝地である二見浦(ふたみがうら)の風景をご覧いただきます。
また、海にまつわる物語では、海に住むといわれる架空の生き物・猩々(しょうじょう)を花器としてあらわした十一代宮﨑寒雉《金銀象嵌猩々薄端》(金工)や、截金(きりかね)で知られる西出大三が能楽の演目「海人(あま)」を題材にとった木彫作品《木彫「あま」》を、物語の内容とともに紹介いたします。バラエティに富んだ海の表現をお楽しみいただければ幸いです。

基本情報
会期 |
2025年5月31日(土)~ 2025年6月29日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第5展示室 |