重要

【11/9】「食を彩る工芸」の入場は10時からとなります

周辺環境

緑あふれる本多の森で
美術工芸品と旅をする

石川県立美術館の周辺には、美しい建築や歴史ある観光名所、美術館が多くあります。
それぞれのスポットをつなぐのは、緑豊かで美しい近道。
各所を効率的にまわりながらも、次の芸術と向き合う準備をするかのように心を整えてくれます。
行く道道で心の小休憩をとりながら、街と自然が調和する金沢の文化をお楽しみください。

樹齢数百年の樹木が囲むレトロ建築「広坂別館」

樹齢数百年を数えるシイ、マツなどの立派な樹木が生い茂る広坂緑地内に建つ広坂別館。大正11(1922)年に陸軍第九師団の師団長官舎として建てられた、国の登録有形文化財(建造物)です。
外観正面は、ハーフティンバー様式で外部に露出する木の骨組みや、正面に張り出した切妻屋根の破風がアクセントに。側面は、モルタル掻き落としの重厚感あるドイツ壁と、袴腰屋根の特徴がよく見えます。背面の外壁は下見板張りに木製ガラス引き戸が並び、軽やかな印象。それぞれの面に別々の魅力を持つ建物です。
 

内部に入られましたら、ぜひ天井を見上げてみてください。
廊下の天井は、左官の見事な技術によって、単色でありながら細部にわたり美しい装飾が施されています。

室内に入ると、部屋ごとに天井のデザインが異なり、細やかなアレンジで部屋の区別化を図っていたことが見てとれます。同じ板張りの格天井であっても格子の間隔に違いをもたせてあり、旧食堂(現 多目的室)では照明器具まわりに漆喰が施されています。

そして、旧応接室(現ガイダンス室)の照明器具は、建築当初のものが今も残っています。照明などの設備は時代の変化とともに更新されることが多いため、当時の姿を伝える貴重な文化財の一つとして、破損した部分を補いながら現在も大切に利用されています。

広坂別館(旧陸軍第九師団長官舎)建築ガイドパンフレット 金沢市レトロ建築めぐり

金沢の地名の由来となった 神秘の清泉「金城霊澤きんじょうれいたく

©金沢市

石川県立美術館の向かい側、百万石通り沿いにある金澤神社の鳥居をくぐると右手に見える金城霊澤。現在もこんこんと水が湧き出る泉で、金沢の地名の由来になった場所だとされています。

ここにまつわる伝説が一つ。

昔、芋掘りを生業に貧しい生活を送っていた藤五郎という若者が、芋のひげにたくさんついてくる砂金の価値を知って長者になるお話「芋掘り藤五郎」。芋を洗い、砂金が採れた沢は「金洗い沢」と呼ばれるようになり、金沢の地名の由来になったとも言われています。

また、加賀藩十二代藩主 前田 斉泰 の時代に建てられた覆屋の天井には龍が描かれており、様々な龍神伝説も存在します。金城霊澤の脇には鳳凰の形に奇石を積み上げた鳳凰山、そして人工の池、道で囲むように、金城霊澤を中心とした聖域がつくりあげられました。そうした歴史をふまえ、現在でも神秘の清泉として信仰され続けています。

金沢市観光公式サイト「金沢旅物語」/金城霊澤

美術と歴史と自然がつながる 癒しの散策路 「美術・歴史・緑の小径こみち

美術の小径 ©金沢市

建築や観光名所、美術館への近道でありながら、通り抜けるだけで心に癒しをもたらす三つの小径があります。

兼六園から流れる辰巳用水の分流に沿って、石川県立美術館の裏手にまわると現れる「美術の小径」。用水と並行するように金沢市立中村記念美術館へとつづく階段があります。ひとたび階段を見下ろすと、視界いっぱいの緑の中を水が滝のように流れ落ちる、自然豊かな景色が目の前に広がります。

急勾配の階段を下りることに抵抗がある方は、木道の先にある「歴史の小径」から下りるのもおすすめです(※時間・季節により通行制限あり)。ジグザクとゆるやかに上り下りできる階段で、踊り場ごとに史跡についての案内板が設置されています。石垣などの遺構もあり、城下町の歴史を感じられる坂道です。
 

緑の小径 ©金沢市

草木に囲まれた美術の小径を抜けると「緑の小径」に出ます。
右手には旧中村邸があり、先へ進むと金沢21世紀美術館への近道に。左手には、鈴木大拙館へとつながる遊歩道が続いています。

手入れの行き届いた本多公園の中には、金沢市立中村記念美術館、そして登録有形文化財(建造物)である旧本多家住宅長屋門へとつながるやわらかな砂利道が。敷地内にある茶室(耕雲庵)を横切ったあたりからは木道になり、四季折々の表情を見せる、高く生い茂った草木を臨みながら歩くことができます。

緑の小径の先には、日本三名園の一つである兼六園の手本となったとされる池泉回遊式の庭園「松風閣庭園」へとつながっています。

金沢市観光公式サイト「金沢旅物語」/美術の小径・緑の小径

 

金沢の文化を楽しめる、芸術・自然豊かな周辺環境。
石川県立美術館を訪れた際には、周辺を散策しながら、心おだやかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?

周辺環境マップ